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JAXAより

宇宙太陽光発電が2030代~2040年代に実用化を目指しています。

宇宙太陽光発電が実用化すれば、ほぼ無尽蔵のエネルギーを手にすることができるようになりますが、なかなか大変な技術でということもあって、まだまだ実用化までの道は長そうです。


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宇宙太陽光発電の始まり

宇宙太陽光発電の仕組みはもともとアメリカのピーター・グレイザー博士が提案したことで日本でも研究が行われるようになりました。

簡単に説明すると、地球の周りの衛星が太陽光発電をしてその電力を地球に向けて無線で送電する技術です。

もともと地球上では太陽光発電は日中しかできず、曇りの日はほとんど発電しません。ところが、宇宙太陽光発電を利用すると、夜であろうが曇りの日であろうが発電ができるシステムになっています。


宇宙太陽光発電の原理

宇宙太陽光発電は宇宙空間で行われます。宇宙空間は地球と異なり大気などの減衰が無いため、ほぼダイレクトに太陽光が届きます。

そのため、人工衛星などを利用して太陽光発電をして、その電力を電磁波(電波)に変えて地球に送ります。

地球上の施設でその電波を受信して電力に変えて利用するという仕組みです。

そうすることで、大気状態に左右されない送信が可能となります。


電波が電力に変換可能?

光も電磁波(電波)の種類に入りますが、光は大気圏の空気や雲(水蒸気)によってさえぎられるため曇りの日は暗くなりますね。

ところが、宇宙太陽光発電に使用される電波はマイクロ波といって、日常的に使われている電子レンジ・衛星放送・無線通信機器・携帯電話で使用されています。

このマイクロ波を空気や雲(水蒸気)に影響を受けない周波数帯で使用すると、電力の損失無く送ることができるようになります。


電力を受信するための施設

地球上で電力を受信する施設を作ろうとすると、原子力発電と同じ発電力の場合で、2k㎡の広さの受信施設が必要となるそうです。

マイクロ波の送信によって人に被害が出ないように広い場所が必要となるでしょう。


困難な問題点

宇宙太陽光発電も実現するまでには相当な技術が必要となります。
その問題点を4つ挙げてみました。

①衛星の軌道修正の問題
人工衛星から地球の受信設備までピンポイントで送信しなければならないため、人工衛星が少しでもずれると地球上の誤差でも数十キロずれてしまいます。

そのため、常に軌道修正をしなければならず、衛星自体に軌道修正用の推進燃料が必要となります。

つまり、衛星維持費がとても莫大になることが予想されています。


②スペースデブリによる問題
地球の周りにはスペースデブリという宇宙ゴミが散乱しています。

スペースデブリの衝突によって衛星の破片が加速度的に増えていくという現象「ケスラーシンドローム」で破壊されてしまうかもしれないことがあります。


③人的被害の問題
受信設備は安全をみてとても広い場所を必要としますが、衛星が少しずれた場合、マイクロ波を浴びると人や動物、植物にどのような影響が出るか分からない問題があります。


④電波障害の問題
宇宙から高出力のマイクロ波を送るので、何らかの電波障害が起こる可能性も指摘されています。また、飛行機の航路上には安全面から送信できないようになります。


宇宙太陽光発電の未来は?

メリットよりもデメリットの方が大きいのではないかと思ってしまいます。

その問題を全て解決するのはやはり莫大な宇宙開発予算と技術力ですね。

個人的には、宇宙太陽光発電が実現するまでに他の技術で発電できるようになっているのではないかと思っています。

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